君の生きる理由になりたかった



それから、軽く食べ歩きをしてから集合場所の京都駅へと向かい、修学旅行は終了した。新幹線に乗り、みんなで最寄りの駅まで行って、その場で解散。ようやく解放された私は、いつもより軽い足取りで帰路に就いた。

その夜は、修学旅行で疲れているはずなのに、うまく寝付けなかった。頭に浮かぶのは、お母さんのことでも、実来とか梨紗たちのことでもなくて、祈里のことだった。
 
私、祈里の彼女になったんだよなあ……。
 
彼女、なんて私とは無縁の単語だと思っていた。私は祈里の、彼女。祈里は私の、彼氏。そう考えると不思議だと思う。今になって、祈里と付き合うことになったのを実感した。
 
本当に、どうして祈里は私に付き合おうなんて言ったのだろう。祈里の目的は、いったいなんなのだろう。こんな私に、優しい言葉をくれるのはなんで?
 
時間がかかってもいいから、ちょっとずつ。その意味も目的も、ちゃんと知りたいと思った。


『どれも千鶴の自由だよ』
 

ふいに、祈里の声が聞こえた気がした。
 
どれも私の自由、か。どうしたって自由になれない私が、どうやって〝自由〟に動けばいいのだろう。
 
祈里、その答えをいつか、教えてくれる?
 
そうやって甘えてしまう自分が嫌になって、なにも考えないように目を閉じる。もうすでに夜は深い。このまま、夜に溶けて跡形もなく消えてしまいたいと思った。