君の生きる理由になりたかった



「千鶴(ちづる)、お誕生日おめでとう!」


私の誕生日に、約束通り陽菜(ひな)の家に向かうと、玄関先で陽菜はクラッカーを鳴らした。それが私に降り注いで、きらきらと光に包まれたような気分になる。


「えっ、すご……!ありがとう!」

「待ち構えてたんだよ、千鶴のこと。遅かったね」

「ご、ごめんね、支度してたの」


今日は二人だけで出かけようって、陽菜が言ってくれたから。誕生日だし、すごく楽しみだったから、少し背伸びをしてかわいい服を買ってみたりしたのだ。

それを身にまとっている私だけど、変じゃないかな?

小さなバッグを片手に、きらきら光る紙を一枚拾い上げた。天井の電気にかざしてみると、もっと綺麗に光って、私を照らしてくれているかのようだった。


「えっ、なにそれ。私もやりたい」


陽菜も私にならって紙を拾い上げ、天井にかざす。その光が陽菜に移ったように、瞳がきらきらと輝きだした。

その姿に、思わず見惚れてしまう。陽菜みたいになりたいと、何度願ったことだろう。


「お母さーん、これ片付けといて!」

「ええー?自分で片付けなさいよ」

「今から千鶴と出かけるの!」


リビングにいるであろう陽菜の母に、陽菜はそう声をかけた。そのわがままさえ、かわいくて素敵に映ってしまうのだから不思議だ。


「ちょっと待ってね、カバン取ってくる!」


そう言って、陽菜は小走りで部屋のなかに行ってしまった。すぐに、私と似たようなカバンを持って、私の前に現れる。

そのときに、私が持っているカバンに気が付いたのか、陽菜は「あっ」と声をあげた。


「それ、買ったの?」

「うん!かわいいなって思って……」

「かわいい!千鶴に似合ってる!」

「あ、ありがとう……」


ちょっと不安だっただけに、その言葉はうれしかったし、安心するものだった。

「じゃ、行こっか!」


笑顔で私に告げる陽菜に、こくんとうなずいて、そのドアを開ける。ドアを抑えて先に陽菜を通すと、陽菜は私に向かって満面の笑みを見せた。


「千鶴の優しいとこ、好き!」


陽菜はいつだって、まぶしい人だった。