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青春、キラキラ、恋愛小説。
何度も何度も頭の中でその言葉を繰り返した。
そしてヒントを追い求めて辿り着いたのは学校の図書室だった。
「…青春、キラキラ、恋愛」
うわごとのようにその言葉を小さな声で唱えながら今まで読んだことのないジャンルの本たちの背表紙を流れるように瞳に入れていく。
どれもこれも似たような…。
もう、どれでもいいや。と、無造作に手を伸ばした先で誰かの手とぶつかった。
「あ、すみません」
と、反射的に謝れば相手も咄嗟に手を引っ込めて「こちらこそ」と小さな声を放った。
再度本の方に手を伸ばしてそれを抜き取る。
そして、本の雰囲気と相違ない女にそれを差し出した。
いわばクラスの中にいても「普通」に溶け込めているような雰囲気のその女は、戸惑いながらもそれを受け取ろうするが、その手がピタリと止まった。そしてなぜか本を拒否するかのように手のひらでぐいっと俺の方に本を押し当てる。
「…私のような人間が、読んでいい本では…」
「え」
それを言うなら、俺の方だ。
私のような人間?君のような女子高生代表のような風貌と雰囲気を醸し出している人こそ読む本じゃないのか、これ。
と、押し当てられた本のタイトルを視界に入れる。
ーーー『他のヤツなんて見てる暇あったら俺だけ見とけ』
なんじゃ、これ。
少女漫画のような絵柄と、その色味、そしてタイトルのパンチ力。これは、これは。
「…これは、青春、キラキラ、恋愛小説、でしょうか」
俺の問いに女は「はい?」と顔を歪めてそしてその本を再度視界に入れた。数回瞬きをしたあと俺の方を見る。
「雰囲気的に、恋愛小説っぽいですけど」
「ですよね…」
しばらくの沈黙が走る。気まずくなって俺は再び女の方に本を差し出した。
気まずいというか、なんだか恥ずかしくなってきた。これを持っている自分が、なんとも『らしくない』気がしてきて。
「俺は読まないので、どうぞ」
「え、でも…」
「間違えて手に取ってしまっただけです」
「間違えて?」と首を傾げられる。自ら恋愛小説が並べられている棚に来ておいて?とそう言われている気がした。
無理がある言い訳だったが、高校生活において今後関わることない人間にどう思われようが、どうだっていいんだ。
青春なんて、青春なんて。
「あの」
女が控えめな声を出した、受け取った本を大事そうに抱えて。
「…なんですか」
「よかったら、一緒に読みませんか、これ」
「はい?」



