千年先も、この日々を

(どうしよう……)

 人一人いなくなった藤棚の下で、采華はぼんやりと立ち尽くしていた。

 ざっと見た程度ではこの異常に対する解決の糸口も掴めず、ひらはらと風に柔らかく揺れる花を眺めることしか出来なかったのだ。
 それでも一つだけ、一柱の神である采華の視点として、違和感を持った点があり。

(喜んでる……?)

 神社という神聖な場所で、千年間も神と人々に愛されてきたこの藤棚には、微弱ながら意思が芽生えている。と言っても、感情の起伏がなんとなくわかるというくらいの微弱さでしかないのだが。
 しかし、それでも喜んでいるという意思が垣間見えるということは、少なくともこれは彼らにとって望まれた出来事である、ということで。
 一つの重要そうな手がかりでありながら、その事実が一層謎を深めていたのだった。