よろづーこれは、かつて人々によって穢され、見捨てられた、もうひとつの世界のお話ー

 全員は食べ終わると、それぞれ旅の疲れを癒そうと、早くから床に就いた。

 海刃はもぞもぞと、隣に少し離れて寝ている影利の背の方を向き、そっと声をかけた。

「……影利さん、起きてるか?」

 影利は海刃に背を向けたまま返事をする。

「あぁ」
 
 海刃は少し躊躇いがちに尋ねた。

「影利さんって、確か弟を追ってんだよな? ……影利さんの弟のこと、聞いてもいいかなぁ、なんて……」

 影利は少し間を置いて話し出した。

「……俺の弟は、お前と同い年で、名は光我というんだ。アイツが俺の前からいなくなったのは、今から四年も前のことだった……。俺たちは幼い頃に住んでいた村がアヤカシに襲われて、家も両親も失くしたんだ。そのとき俺はまだ十二で光我はまだ八つだった。俺に残されたのは、たったひとりの家族の幼い弟だったから、俺が守ってやらなければと思って一生懸命働いたんだ……。盗みをしたこともある……」

「…………そうだったのか」

 海刃は影利の過去に衝撃を受けた。

「でも四年前のあの日に、突然光我は俺の前から消えたんだ……」

「なんでだ?」

 海刃は一番疑問に思っていたことを尋ねたが、影利はこう答えただけだった。

「わからない…………」

 影利は幼かった頃の弟を思い出す。