よろづーこれは、かつて人々によって穢され、見捨てられた、もうひとつの世界のお話ー

 こうして五人は、少し怪しげな宿に泊ることになった。

 五人は二階の部屋に、男と女それぞれ二つに分かれて部屋を取った。

 小雨、かずみ、来華は、さっそく雨で濡れて冷えた身体を温めようと、温泉に入った。

「うわ~、気持ちいいな!」

 かずみは嬉しそうに湯につかりながら、歓声を上げる。

「うん!」

 小雨も湯につかって、ニコニコとしながらうなずいた。

「う~ん、たまには心を癒すのも必要だよね~」

 来華は温泉の中でうんと伸びをする。
 小雨はふと心配そうにつぶやいた。

「それにしても、すごい嵐だよね。明日までにおさまるかな?」

 ぶくぶくと湯に潜っているかずみを他所に、来華は優しくこう答える。

「そんなに焦らなくても大丈夫だよ。きっとあっちだって、この嵐じゃ先へは進めないはずだし。それに情報がここ最近途絶えてるから、この後どうするか考えないと……」

 小雨は不安そうな表情のまま、小さくうなずく。
 直接、かずみがやっと湯から顔を出した。

「それにしても、この宿ってなんか陰気くさいよな~。私たち以外に泊まってる奴らいんのかな……?」

「確かに他に人がいる感じがしない……」
 
 来華も少し考え込むようにつぶやく。

「嵐だからじゃないのかな……?」

 小雨もそう言いながらも、少し不安を感じていた。