よろづーこれは、かつて人々によって穢され、見捨てられた、もうひとつの世界のお話ー

 小雨たちはある田舎道を、酷い風雨に吹きさらされながら走っていた。

 小雨は冷たい風雨に身体を震わせている。

「寒いー! 冷たいー!」

 かずみが走りながら叫ぶ。

「おっ! 宿らしきもの発見! とりあえず、今日は野宿なんて無理だ。宿を取ろう!」

 海刃はみんなにそう呼びかけながら、先頭に立って走った。

 建物はどうやら本当に宿らしく、古いようだがとても大きな造りをしている。

 五人は一斉に宿の中へ駆け込んだ。

「う~、さすがにこの時期の雨はきついよね」

 来華はそう言いながら、ずぶ濡れの着物を絞る。

「そうだな」

 影利がそう答え、扉を閉めた。
 
 その瞬間——

 ——ズドーン!

 ものすごい雷が鳴り響いたのだ。

「「うわっ!」」

 かずみと海刃が驚いて声を上げる。

「……いらっしゃいませ」

 不意に暗がりから声がして、宿の奥から年老いた女将がぬっと現れ、二人はまたまた声を上げた。

「「うわぁああ!」」

 小雨はその叫び声に驚いて、ビクッと飛び上がった。
 来華が呆れて溜息をつく。

「ちょっと、失礼でしょ? あんたたちって変なところ、似てるよね」

「び、びっくりした」

 小雨は心臓をドギマギさせながらつぶやいた。