よろづーこれは、かつて人々によって穢され、見捨てられた、もうひとつの世界のお話ー

 二人はその後、城の中の壊されていなかった部屋を見つけて、その中で夜を過ごすことにした。
 一本の大きな蝋燭に火を灯し、二人はそれを囲んで座っていた。
 
 城の扉が壊されたせいで、砂嵐が吹き抜ける音がヒューヒューと聞こえてくる。
 少し隙間風が入ってくるので、先ほど寝ていた部屋よりだいぶ肌寒かった。
 時折入ってくる隙間風に、蝋燭の火はチラチラと揺れ、その度に二人の影も揺らめいた。

 よろずは蝋燭を見つめたまま、口を開いた。

「なぁ、おめぇのその武器、変わってるよな。使いこなすには、だいぶ苦労したんじゃねぇのか?」

 光我もぼんやりと蝋燭を見つめたまま、答える。

「……コイツはオレにしか扱えねぇ。というより、今(・)の(・)オ(・)レ(・)だから扱えんだけどな……」

 よろずは光我の意味深な言葉を聞いて、探るように彼を見ながら再び問いかけた。

「おめえ、さっきはよくあんな暗闇の中を普通に走れたな……?」

「……まぁな」

 光我は視線を蝋燭に向けたままだ。
 よろずは彼が『夜代』に入って、どんな力を得たのかが気になった。
 光我はふと、よろずの傍らに置いてある大鎌に目をやった。

「てめぇの持ってる武器も初めて見るぞ。大鎌か……まるで死神だな……」

 そう言って光我はフッと笑う。

「…………」

 よろずはなにも答えずに、蝋燭の火に視線を戻した。
 光我が再び口を開く。

「……お前はなんで、『夜代』に入ったんだ?」

 よろずは少し間を置いて答えた。

「強くなるためだ」

「それは、なんのためだ?」

 よろずは僅かに視線を落とした。

「……自分のためだ」

 光我はそんなよろずを、探るような目で見ている。
 よろずは顔を上げて聞き返した。