よろづーこれは、かつて人々によって穢され、見捨てられた、もうひとつの世界のお話ー

 目を押さえて暴れ出した大入道から、光我が飛び降りたのと同時に、よろずは巨大な鎌で大入道の太ももを深く斬りつけた。
 
 大入道は、雷の轟くような悲鳴を上げながら倒れていく。

 大入道の足がぶち当ったおかげで、二人は崩れる城壁に足を取られ、砂地へと投げ飛ばされた。

「「うわぁあぁ!」」

 二人は砂の中に派手に倒れ込んだ。
 大入道は城の一部分を崩してしまい、それに強く頭をぶつけたらしく、その場に伸びている。

 茫然と転げたままその光景を見ていた二人の前に、一瞬砂嵐と混ざって大きな風が吹き荒れた。
 二人は思わず目を瞑る。
 大入道は砂のように、その風に溶けて消えていった。

 二人は砂嵐の音だけとなった中、しばらく茫然としたまま大入道の倒れていた場所を、上半身だけを起こして見つめていた。
 互いに顔を見合わせると、不意に笑いが込み上げてくる。

「はは、やられる前に逃げやがったか」

 よろずはニヤッと笑ってそう言った。
 光我もニッと歯を見せて笑う。

「アイツ、身体は固いくせに、頭はよぇーみてぇだったな!」

 二人は堪えきれずに、その場に転がったまま笑い合った。
 笑いが収まると、二人はようやく立ち上がった。
 光我は少し崩れてしまった城を見て、顔をしかめる。

「チッ、あの野郎、派手に壊しやがって。例の書物があるはずの蔵を、潰しちまってねぇだろうな?」

 よろずも城を眺めながら言った。

「とにかく、また今日の寝床は確保しねぇとな」