よろづーこれは、かつて人々によって穢され、見捨てられた、もうひとつの世界のお話ー

「チッ、またかよ!」

 光我は骨を持ったまま、急いで布の中へ潜り込んだ。
 よろずも慌てて燭台の火を吹き消して、布を頭からスッポリと被る。

 足音はさっきよりもさらに重く大きい。
 足音は今までと全く同じように、部屋の前で止まった。
 襖が開く。
 やはり部屋には入って来ずに、さっきより低く重い声が、普通の人間からは考えられないような、高い位置から響いた。

「……客人か。ならば、おもてなしせねば」

 そう言うと、声の主はなにかをガラガラと大量に入口の近くへ置き、再び襖を閉めて去って行った。
 よろずは急いで灯りを灯した。
 光我も布からいそいそと出てきて、入口に置かれていった物に近寄った。

「……! オイ、さっきよりえらくでけぇ骨があるぞ?」

 よろずも光我の隣に立って、そこにある物を覗き込んだ。

「本当だ!」

「なぁ……まさか、コレって人の骨……とか?」

 光我はそう言って、小さくニヤッと笑う。
 二人はチラリと顔を見合わせた。

「……オイ、アイツさっきより、随分デカかったよな……」

 何本も積み重なっている骨を見下ろしたまま、光我はぽつりとそうつぶやく。

「ああ。おめぇが寝てるときはもっと小さかったぞ……」

 よろずはそう答えると、スッと骨のそばに屈み込んで骨を触った。

「なぁ、ひょっとしてこの骨は、オレたちに対する脅しじゃねぇのか?」

 よろずの言葉に光我はフッと笑って、先ほどの小さな骨を、積まれた大きな骨の上へ放った。

「へっ、つまりあの野郎はオレたちに、恐(・)怖(・)という名のお(・)も(・)て(・)な(・)し(・)をしてるってわけかよ」

 よろずもニヤリと笑う。

「ま、そういうことだな。お(・)前(・)ら(・)も(・)こ(・)う(・)い(・)う(・)風(・)に(・)し(・)て(・)や(・)る(・)ぞ(・)ってことだろ。でも、そろそろ、正式におもてなしされるかもしれねぇな」

 そのとき、また足音が響いてきた。
 二人は急いで布に潜り込む。
 よろずは今度は灯りを消さなかった。