よろづーこれは、かつて人々によって穢され、見捨てられた、もうひとつの世界のお話ー

 この白い札には、特別な霊気が込められており、討伐したアヤカシの体液を染み込ませることで、その者の姿を映し出すのだ。
 そうして、これを役場に提出することで、退治屋は報酬を得るのだ。
 
 その作業を終えて少しすると、大ムカデの死骸は消え、後にはたくさんの人の骨と、小さなムカデの亡骸が残されていた。
 
「こりゃ、人の骨だぞ?」
 
 海刃は目を丸くした。
 その中の髑髏には矢が刺さっていたり、大穴が開いていたりする。
 かずみはたくさんの骨とムカデの亡骸を見下ろすとこう言った。
 
「おそらく……戦かなにかで死んだ人の念が、このムカデに取り憑いたってところだろ」
 
「そっか……」
 
 小雨は視線を落としてそうつぶやいた。
 
 三人はその後、きちんと骨とムカデを土に埋めて、宿の主人に報告を済ませると、再びよろずを追って旅に出発した。


 
 死者の魂が成仏できず、『アヤカシ』にまで成り下がり、人をも襲う。
 
 よろづ世はそういう世界だった……。