よろづーこれは、かつて人々によって穢され、見捨てられた、もうひとつの世界のお話ー

 翌日、天気は雨だった。
 そして、よろずは洞穴に姿を現さなかった。
 アタシは不安になって、寮によろずを訪ねて行った。
 けど、よろずの姿はなかった。
 それに、寮の部屋は不自然に片付けられていた。

「よろず!」

 アタシは必死に叫び、よろずを捜し回った。
 雨に濡れながら商店街も探した。

「小雨!」

 そんなアタシを見つけ、かずみと海刃が駆け寄って来た。

「オイ、びしょ濡れじゃねぇか!」

 海刃は慌てて差していた傘をアタシの上にやった。

「どうしたんだ? なにがあった?」

 かずみもアタシのただならぬ様子に、真剣な顔で尋ねた。

「よろずがっ……」

 アタシは二人に、昨日よろずの様子がおかしかったことを話した。
 二人とも、アタシと一緒によろずのことを捜してくれた。
 よろずが行きそうな場所をほとんど捜し回ったところで、海刃がこう言った。

「オイ、あの空き家は見たのかよ?」

「あっ、なんで気づかなかったんだろう……」

 アタシがそうつぶやくや否や、アタシたちは空き家に向かって駆け出した。

 

「よろず!」

 海刃が勢いよく空き家の扉を開けたけど、中はやけに静かで片付いている。
 アタシは家の中を捜し回った末に、へなへなとその場に座り込んだ。

「……っこれって……どう見ても」

 アタシは拳をギュッと握りしめた。
 かずみがその後を次いでつぶやいた。

「自分の意志で出て行ったんだろう……寮の部屋もそうだけど、ここまで不自然に片付いてるってことは……」

 かずみは悔しそうに顔を歪めた。
 海刃も眉間に皺を寄せてにつぶやいた。

「一体アイツ、どこ行っちまったんだ……」

 外ではまだ、雨が降り続いていた……。

 

 次の日になっても、その次の日になっても、よろずは帰っては来なかった。

 アタシは自分の家にこもって、一日中泣き続けた。
 かずみが何度も来てくれたけど、なんと言っていいかわからないようで、ずっとアタシの隣に座って、ただ一緒にいてくれた。