よろづーこれは、かつて人々によって穢され、見捨てられた、もうひとつの世界のお話ー

 それから約四年が経った。

 よろずは商店街の中の小さな甘味処で一人、椅子に腰かけ、みたらし団子食べながらお茶をすすっていた。
 よろずは相変わらず大きな瞳で、背が昔より伸びただけでそんなに変わってはいなかった。
 それでもちょっとは頼もしくなっていた。

「よろず~!」

 海刃がよろずを見つけて走って来た。

「おぅ、海刃」

 よろずは団子を手に持ったまま、海刃を見上げた。
 海刃はよろずと比べたら、だいぶ背が高くなったように見えた。

「お、美味そうなもん食べてんな!」

 海刃はそう言うと、もう一本皿に乗っているみたらし団子に手を伸ばした。
 よろずはすかさずピシャリと手を払うと、すっと手の平を海刃に差し出した。

「金」

「ケッ、なんだよ。一本くらい、いいじゃんか」

 海刃は渋々財布を取り出し、よろずに金を渡すと団子にかじりついた。

「っるせぇ! オレは貧乏なんだよ!」

「はいはい」

 立ったまま、海刃はあっという間に団子を食べ終わると、よろずに向き直った。

「って、こんなことしに来たわけじゃなかった。オイ、そろそろ集合時間だろ?」

 よろずは団子を飲み込むと、慌てて立ち上がった。

「いけねー。そうだったな!」

 二人は商店街を早足で歩き出した。
 よろずはふと海刃の視線に気づき、彼を見返した。