よろづーこれは、かつて人々によって穢され、見捨てられた、もうひとつの世界のお話ー

 あれから約二週間が過ぎようとしていた。

 アタシはあの日以来、一度もよろずに会いに行かなかった。
 もう会わないと決めていた。
 というより、怖くてとても会えなかった。

 アタシは彼に会って恐れた目で、または軽蔑した目で見られるのが怖かった……。

 

 そんな、晴れた日の夕方……。

 アタシは、独りで家に閉じこもっているのが耐えられず、外へ出た。

 そうして歩いているうちに、自然とあの崖に来ていた。
 よろずと会っていたのは、いつも昼下がりだったので、会う心配はないだろうと思っていたんだ。

 アタシは、そうっと木立の中から誰もいないのを確認し、崖の方へ歩み出た。


 
 ——久しぶりに海を見た……。


 
 そう思ったときだった。

「小雨!」

 誰かがアタシを呼んだ。
 アタシはゆっくりと振り向いた。
 そこには、よろずが少し離れたところに立っていた。
 アタシはすぐに勢いよく顔を逸らして、逃げ出そうとした。