よろづーこれは、かつて人々によって穢され、見捨てられた、もうひとつの世界のお話ー

「許さない……」

 アタシは思わずそうつぶやいていた。

「なに?」

 男はアタシをじろりと睨んだ。

 ——ゴロゴロゴロ

 辺りが雷で一瞬明るくなった。
 その後で、ものすごい音と一緒に、近くの木立に雷が落ちた。
 激しい雨が降り出した。

「なんで、アタシたちが、殺されなきゃならないの……」

 アタシは次第に我を忘れていった。

「オレに会ったのが、お前らの運の尽きだ」

 男は薄ら笑いを浮かべながら、アタシたちが苦しむのを面白がるように言った。
 アタシはキッと顔を上げて怒鳴った。

「ふざけないで!」

 雨は一層激しさを増した。

「……小雨?」

 よろずはアタシの異変に気づいて、刀を突きつけられたままアタシを見つめた。
 男は不意に刀を引っ込め、

「うるせぇな。すぐにお前も黙らせてやるから、待ってろ!」

 と叫んで、よろずに向かって刀を振り下ろした。
 よろずはなんとか避けたが、横腹の傷の痛みに呻き声を上げた。

 アタシは雨乞いをするように、両手を広げて空を見上げた。

「!」

 男は手を止めて、不審そうにアタシを見た。
 少し雨が和らいだ。

「オイ、お前なにして……」

 男がアタシに近づいてきた。
 しかし、アタシが広げていた両手を祈るように、自分の胸元にギュッと強く押し当てた瞬間——