よろづーこれは、かつて人々によって穢され、見捨てられた、もうひとつの世界のお話ー

 そうしてアタシとよろずは、毎日のように会うようになった。

 よろずの家に行ったり、アタシの家によろずを招いたりもした。
 また、お互いの家に泊まったりもした。
 二人とも家族がいないから、誰も咎める人はいなかった。

 よろずの家は、森の少し奥にある簡素で小さな家だった。
 それでも思ったよりは綺麗で、よろずは結構まめに掃除してるみたいだった。
 少し近場に川もあるので、生活には割と便利そうだった。

 アタシは毎日が楽しくて楽しくてしょうがなかった。


 
 そんなある日……。

 アタシがよろずに会いに行こうと家を出ると、ちょうど近所のおばさんが尋ねて来た。
 おばさんは少し大きめな体型で背に籠を背負って、いつものように、アタシに食料を分けに来てくれた。

「あら、小雨ちゃん。どこか出かけるのかい?」

 おばさんは、人の良さそうな笑顔でそう言った。

「あっ、おばさん! いつもありがとう。うん、ちょっと友(・)達(・)のところに……」

 アタシが少し照れくさそうにそう言うと、おばさんはにっこりと笑った。

「あら~。友達できたのね! 良かったじゃないか!」

 アタシもにっこりと笑い返した。

「それで、どこに住んでる子なんだい?」

「え、えと……海の方の森の少し奥に……」

 アタシがモゴモゴとそう答えると、おばさんは少し心配そうな顔をした。

「森? 最近森には、盗賊なんかが出るらしいから、気をつけるんだよ?」

「う、うん……わかった」

 アタシも少し不安になりながら、うなずいた。