よろづーこれは、かつて人々によって穢され、見捨てられた、もうひとつの世界のお話ー

「その刀どうしたの?」

「拾ったんだ。森歩いてたら、おっさんが死んで倒れてたから頂いたのさ」

 よろずはさらりとそう言って退けたが、アタシは愕然として彼を見た。
 そんなアタシを見て、よろずは付け加えた。

「この御時世、アヤカシに襲われたりして野垂れ死ぬのなんか、しょっちゅうだからな。自分の身を守るモノは必要だろ?」

 アタシは気を取り直してまた質問した。

「どこの道場にも通ってないの?」

「そういえば、あんまり考えたことなかったなあ」

「せっかくできるのに……」

 すると今度はよろずがアタシに質問してきた。

「おめぇは通ってんのか?」

「う、うん」

「じゃあ、将来は退治屋か」

 そう言われて、アタシは自信なく答えた。

「一応そのつもり……なんだけど……」

「おめぇ、家族は?」

「アタシ、独りで暮らしてるの。小さい頃に退治屋だったお父さんがアヤカシに殺されて、それで落ち込んじゃったお母さんも病気になっちゃって、結局その病気こじらせて死んじゃったの……。でも独り暮らしでも、近所のおばさんとその家族の人たちが、アタシのこと支えてくれてるんだよ」

 そう、アタシが両親を失くしてから、近所のおばさんの大家族が、アタシのことを家族のように手助けしてくれていたんだ。

「そっか……」

 よろずは、ヨモギ餅の葉っぱをひらりと海の方へ投げ捨てた。