よろづーこれは、かつて人々によって穢され、見捨てられた、もうひとつの世界のお話ー

 アタシが泣きやんだのを見て、少年は口を開いた。

「おめぇ、なんで泣いてたんだ? いじめられたのか?」

 アタシは黙ったままギュッと縮こまった。
 人と話すのが苦手だったし、何故この少年がアタシに構うのかわからなかった。
 少年はそんなアタシを見て、フゥッと溜息をついた。

「まぁ、無理に話すこともねぇよ……」

 アタシは少年の顔を探るように見つめた後、迷った末に口を開いた。

「……そう、アタシいじめられてるの。みんなアタシのこと……『雨女』って言うの……」

 アタシがぼそぼそと話すのを、少年はじっと聞いていた。
 そして、アタシが話してくれたのが嬉しいみたいで、そっと微笑んだ。

「……そっか、雨女かぁ。おめぇいっつも独りなのか?」

 アタシはそう聞かれて、さらに表情を曇らせた。

「……う、うん。アタシ、友達なんて一人もできたことないから……」

 そう言い終わってまた涙がこぼれそうになり、アタシはギュッと目を瞑った。

「はは、オレもだ。仲間だな!」

「え?」

 アタシは瞑っていた目をパッと開き、驚いて少年の方を向いた。
 しかし、そんな言葉とは裏腹に、少年は無邪気にニッと歯を見せて笑った。

「さ、寂しくないの?」

 アタシがおずおずと尋ねると、少年は表情を曇らせる様子もなく言った。

「別に、オレはずっと独りだったから、なんて言うか、慣れたなぁ」

「…………」

 アタシはなんと言って良いかわからず、少年の顔を見つめた。