よろづーこれは、かつて人々によって穢され、見捨てられた、もうひとつの世界のお話ー

 空が唸り出した。
 そして、突然滝のように雨が降り出した。

「うお! いきなりかよ」

 光我は鬱陶しそうに空を見上げた。
 小雨はうつむいている。

「……これ以上……変なこと言わないで!」

 小雨が顔を上げそう叫んだのと同時に、大きな雷が周りの森にすさまじい音を轟かせて落ちた。

(この娘、もしや……!)

 桜在は小雨を鋭い視線で凝視した。

「桜在、お前も気づいたか? あのガキから強い妖気を感じるぞ。それにこの雨は変だ。アイツの仕業ではないのか? あのガキも憑かれ人か妖怪に違いない! そうなると、あのガキにもコイツと一緒に来てもらわねばな」

 座朗はそう言い放ち、担いでいた女を地面に投げ捨てるように下ろすと、背の大太刀に手を伸ばした。

「オイ、座朗! その女もおかしいぞ?」

 光我は座朗が担いでいた女を慌てて指差した。
 その女は突然地面で悶え苦しみ出した。
 そして胸元から着物を突き抜けて、巨大な虫の足が不気味に蠢きながら現れたのだ。