よろづーこれは、かつて人々によって穢され、見捨てられた、もうひとつの世界のお話ー

「桜在、コイツらに歴史の勉強でもさせる気か?」

 座朗は、なんのためにそんなことをさせるのか、意味がわからないと言わんばかりにそう言った。

「座朗の言う通りだ。一体なんのために……」

 光我も納得いかない様子だ。

「……それを、お前たちで見つけ出すのだ」

 桜在は静かにただそう答えた。

「……桜在さん、あんた本当に変わった人だな」

 よろずは桜在の言葉をしっかりと噛みしめるように、そうつぶやいた。

「どうもお前の考えていることは理解できんが……まぁいいだろう。新入りもいることだし、ガキ二人で憑かれ人やアヤカシを探すよりは、その方がいいかもしれんな」

 座朗は理解できないまま、桜在に同意した。

「フン、まぁいいか。なかなか同い年の奴とっていう機会もねぇからな」

 光我はそう言うと、桜在の手から鍵束をヒョイと掴み取った。

「用が済めば夜助(やすけ)をそっちへ寄越す。まぁ、天無城へ行くならば、俺たちの方が早く片付くだろうがな……」

 桜在がそう言うと、座朗は彼の方へ向き直った。

「そろそろ行くぞ。空模様が怪しいからな……」

 よろずと光我は顔を見合わせた。

「じゃあ、オレたちも行くか? まぁこれもなにかの縁ってことで、よろしく頼むぜ! よろず」

 光我は鍵束をジャラつかせながら、ニッと歯を見せて笑った。
 
「あぁ、よろしくな」

 よろずは仕方なく光我と共に、天無城へ向かうことにした。

(なんだかコイツは苦手だなぁ……)

 よろずはこっそりと溜息をついた。