よろづーこれは、かつて人々によって穢され、見捨てられた、もうひとつの世界のお話ー

「どういうことだ! 桜在さん?」

「オイ、んなことひとつも聞いてねぇぞ? 座朗!」

 二人はそれぞれの相手に詰め寄った。
 しかし座朗は鼻で笑ってこう言った。

「フン、お前らに拒否権などない。せいぜい仲良くするんだな」

「チッ、勝手なこと言いやがって……」

 光我は顔をしかめて舌打ちした。

「ったく、冗談じゃねぇ」

 よろずもぼそっと悪態をついた。

「まぁ、そう言わず聞け」

 桜在はなだめるようにそう言いながら、懐に手を入れてまさぐった。

「お前たちには、やってもらうことがある」

 桜在は二人の目の前で、ジャラリと古い鍵束を持ち上げた。

「なんだ? それは俺も聞いてないぞ。こんなガキ二人になにをやらせる気だ?」

 座朗は訝(いぶか)しげにその鍵束を見つめた。

「大したことではない。これからお前たちには、天無城(てんむじょう)へ行ってもらう」

「天無城……?」

 よろずは鍵束を見つめたまま首を傾げた。

「天無城っていやぁ、あの砂漠のどっかにあるっていう、もう使われてない古い城のことだろ? なんでそんなところに……?」

 光我も口元に手をやって、考え込むようにつぶやいた。
 桜在は話を続けた。

「その城のどこかに蔵がある。この鍵のどれかで、その蔵を開けられるはずだ。その蔵にある書物の中から、『この世界のはじまり』に関して書き記されたものを、捜し出して来い」