よろづーこれは、かつて人々によって穢され、見捨てられた、もうひとつの世界のお話ー

「なんだ、オレと同い年って聞いたが、やけにちっせえな?」

 少年はよろずを見て平然とそう言った。
 悪気はないようだ。

「…………」

 よろずは口元を引きつらせ、チラリと桜在を盗み見た。

(ったく、桜在さんと並んでると、余計目立っちまうじゃねぇかよ。 なんでよりによって、こんなでかい奴と……嫌がらせか? コノヤロー!)

 よろずの心中を知ってか知らずか、桜在もチラリと彼に目をやった。
 よろずは目が合ってしまい、慌てて向き直った。

「ま、とにかく自己紹介だ。オレは光我(こうが)、こっちは座朗(ざろう)。よろしくな!」

 光我はおおざっぱに自己紹介を済ませた。

「オレはよろずだ」

 よろずは素っ気なくそれに応えた。

「へぇ……『よろず』か。おもしれー名だな……」

 光我は意味あり気にニヤリと笑った。


 
 一方その頃、小雨たちはここ数日曖昧な情報を頼りに旅を続けていた。
 そして今は、周りを田畑に囲まれた細い小道を歩いていた。

「すみませ~ん!」

 かずみは、田んぼで作業をしている一人の老婆に声をかけた。
 老婆は手を止めて顔を上げ、快く応じてくれた。

「なにか用かね?」

「最近この辺りを、紫檀色の襟巻をした人が通りませんでしたか?」

 かずみに代わって来華が尋ねた。

「あぁ、それならついさっき見たよ。小柄な男の子と背の高い男の二人組でね。あっちの森に入ってったよ」

 老婆が小雨たちからして左手にある、自分のいる田んぼを挟んだ森を指差すと、みんなは一瞬にして目の色が変わった。