よろづーこれは、かつて人々によって穢され、見捨てられた、もうひとつの世界のお話ー

 あれから数日が経っていた。
 よろずと桜在は、草木がうっそうと生い茂る森の中を歩いていた。

 しばらく行くと、小さな岩山のある大きな開けた場所に出た。
 二人がそのまま歩いて行くと、不意に岩山の上の方から声がした。

「よう、桜在! そいつか? 新入りってのは」

 二人が岩山を見上げると、その上から一人の少年が飛び降りてきた。
 続いて一人の女を抱えた男も。
 少年とその男は同時に立ち上がった。

 少年はよろずとほとんど歳が変わらないようだったが、だいぶ背が高い。
 大きな凛々しい瞳で、紺の着物を着流しており、腰には刀と——海刃とはまた違った、大きな鎖鎌が巻きつけてあった。
 もちろん、首元には紫檀色の襟巻がだらりと巻きつけてあり、穴を開けた左耳には、金の輪っかの耳飾りがついていた。

 もう一人の男は、とても怪しい姿をしていた。
 背丈は桜在ほどではないが、かなりの長身で、頭には深く笠を被り、例の襟巻を口元を隠すように巻いていた。
 着物の上には、上半身を隠すように外套をまとい、腰には刀、背には身の丈ほどもある大太刀を背負っていた。
 笠の隙間から窺える顔は、左目にかけて大きな長い切り傷の跡がある。

 その男が縛り上げて肩に担いでいた中年の女は、今は地面に転がされていた。
 その女は意識がないようだった。