よろづーこれは、かつて人々によって穢され、見捨てられた、もうひとつの世界のお話ー

「そういえば、影利さんは弟さんを追って旅してるんだよね? それって、どういう……?」

 小雨は躊躇いがちに来華に尋ねた。

「影利の弟はアイツを独り残して、奴らの仲間に入ったらしいんだ。アイツの家族は弟だけだって言ってたから……」

 来華は小雨にそう教えてくれた。

「そうだったんだ……」

 小雨は川に視線を戻した。
 相変わらず夜風が冷たい。
 
 ——みんなはそれぞれの目的があって、あの人たちを追ってる。
 少しでも早く真実を知りたい。

 小雨は心の中で、強くそう思った。

 
 
 二人はしばらく黙って、川の流れを見つめていた。
 木陰に潜む、もう一人の少女の存在には気づかずに……。



 次の日、小雨たちは朝早くから出発の準備をした。

「よし! じゃあ気を取り直して行くか!」

 海刃が場の空気を和らげようと、元気にそう言った。
 そのとき、かずみと来華の目が合った。

「あ……」

 来華が口を開くより早く、かずみがつっかえながら口を開いた。

「き、昨日はごめんな。私、言い過ぎたよ」

「へ……?」

 来華は想定外の事態に、目をパチクリとさせた。
 みんなも同じだった。