よろづーこれは、かつて人々によって穢され、見捨てられた、もうひとつの世界のお話ー

「ちょっ、お前! そんな言い方ないだろ?」
 
 かずみは来華に食ってかかった。
 
「うっさいなぁ。いつまでも受け入れないから、現実を教えてあげてんでしょ?」
 
 来華も負けじと言い返す。
 
「お前、感じ悪いよ!」
 
 かずみは来華を睨みつける。
 
「あんた——」
 
 来華の言葉は違う声に遮られた。
 
「やめろって!」
 
 海刃がたまりかねて制したのだ。
 
「喧嘩なんかしたって仕方ねーだろ!」
 
 それでもなおかつ口を開こうとする来華とかずみを、今度は影利が制した。
 
「いい加減にしろ! 死人の目の前で……」
 
「…………」
 
 二人はやっと口を閉ざした。
 
「とりあえす、野宿できる場所を探そう……」
 
 影利は静かにそう言うと、村の外へと歩き出した。
 みんなも黙って後に続いた。
 かずみは未だ、頭を抱え込み震えている小雨を、しっかりと支えて歩いた……。