よろづーこれは、かつて人々によって穢され、見捨てられた、もうひとつの世界のお話ー

「アイツらだ……」
 
 来華は憎々しげに眉を吊り上げた。
 すると、
 
「違う!」
 
 と小雨が感情的に声を上げた。
 せっかくの雨上がりの空が、また雲に覆われ始めた。
 
「小雨……」
 
 かずみが小雨に声をかけようとすると、
 
「なにが違うってのよ」
 
 と来華が怒りを露わにしながら、そうつぶやいた。
 
「よろずはっ……こんなことしない!」
 
 小雨は頭を両手で抱え込んでそう叫んだ。
 
「気の毒だけど、これが真実なんだよ。どんなに否定しても、もうあんたの信じてる、その『よろず』とかいう奴は自分の手で人を——」
 
 来華の冷静な反論を遮り、小雨は必死にただただ否定を繰り返した。
 
「違う! 違うよ! そんなわけない……こんなの——」
 
「ギャーギャーうるさいんだよ! いい加減真実を受け入れなよ! あたしの言うことが嘘ってんなら、この目の前の光景はなに? 往生際が悪いんだよ!」
 
 今度は来華がそう怒鳴って、小雨の言葉を遮った。