よろづーこれは、かつて人々によって穢され、見捨てられた、もうひとつの世界のお話ー

 みんなは口々に声を上げた。
 老婆の頭が爆発したように、飛び散ってしまったのだ。
 後にはどさりと、頭のない身体だけがその場にくずおれた。
 
「一体、なにが起きたっていうの?」
 
 来華は青ざめた顔で、残された老婆の身体を見つめた。
 
「ね、ねぇ、なんか村みたいなのがあるよ?」
 
 小雨は戸惑いながらも前方を指差した。
 
「本当だ。コイツに気を取られて気づかなかったなぁ」
 
 かずみはポカンと口を開けた。
 
「もしかすると、この老婆が俺たちを導いたのかもしれない……。単なる推測だが……」
 
 影利が考え込むように、再び口元に手をやってつぶやくと、みんなは無言で老婆に目を向けた。
 かずみが最初に一歩踏み出した。
 
「小さな村だな。それに全く人の気配がないぞ?」
 
 かずみは先頭に立って歩きながらそうつぶやいた。
 少しずつ村に近づいて行く。

「っな、なに? これ?」

 小雨が悲鳴に近い声で叫んだ。
 
 血の海だ……。
 
「どうなってんだよ?」
 
 海刃は血相を変えて走り出した。
 かずみも息を呑んで、闇雲に周りの家の戸を開けだした。
 
「誰か! オイ、生きてる奴はいねーのかよ!」
 
 海刃は一軒残らず家を確認し、大声を張り上げた。
 確認するのにそう時間は必要なかった。
 村には十数軒しか家がないからだ。
 小雨は青ざめて立ちすくんでいる。
 
「無駄だ。誰も生きてはいない。言っただろう……奴らはそういう奴だ」
 
 影利は悔しげに顔をしかめた。
 
「なんのこと?」
 
 かずみは動揺しながら震える声で問いかけた。