よろづーこれは、かつて人々によって穢され、見捨てられた、もうひとつの世界のお話ー

 そこには薄汚い格好をして、白髪をボサボサに伸ばした老婆が立っていた。
 
「……どうしたんですか~?」
 
 かずみは老婆に警戒しながら呼びかけた。
 なにか変だ……。
 老婆はゆっくりと顔を上げた。
 
「な、なんだぁ! コイツ?」
 
 海刃は度肝を抜かれて一歩退いた。
 老婆には、眼球がなかった。
 そこにはポッカリと、二つの穴が開いているだけだった。
 
「アヤカシか?」
 
 影利は刀に手をやったまま、異様な老婆の姿を見据えた。
 すると、老婆はよろりと向きを変えると、おぼつかない足取りで歩き出した。
 影利は少し考えるように口元に手をやると、その後を歩き出した。
 
「えっ! 行くの?」
 
 小雨はキョロキョロとみんなを見回した後、影利に続いた。
 他の者もその後に続く。
 不意に薄暗い森を抜けた。
 そこで老婆は急に固まってしまった。
 
「?」
 
 みんなも立ち止まり、老婆を見つめた。
 すると、突然老婆の身体が異常に震え出し、次の瞬間——
 
「うわぁ! な、なんだ?」