よろづーこれは、かつて人々によって穢され、見捨てられた、もうひとつの世界のお話ー

 今日も空は淀んでいる。
 ここ最近、空はずっとこの調子だ。
 その淀んだ空の下、川沿いの道をある旅の一行が歩いていた。
 
 皆歳は十代半ばほどで、その内の一人、長い髪を横で一つに束ね、丈を膝まで端折った、少々くたびれた茶色の小袖を着た少女——大きな鉈を背負って、意思の強そうな瞳をした彼女の名は、『かずみ』といった。
 
 二人目は高身長で、短髪頭の人の良さそうな顔をした少年——紺の野良着姿で腰には鎖鎌を携えており、名を『海刃(かいば)』といった。
 
 そして、三人目は肩まで伸ばした髪に、丈を端折った白地の小袖、瞳は大きく透き通るような優しげな少女——名を『小雨』といった。


 
 彼らは『退治屋』と呼ばれる者たちであった。
 際限なくアヤカシの溢れるこの世界には、欠かせない者たちだ。
 それ故、このよろづ世を生きる者は、農家に続いて退治屋を生業とする者が多かった。


 
 ところで、この三人の退治屋たちには、あるひとつの目的があった。
 
「天気悪いな……」
 
 かずみが不安げに空を見上げた。
 
「ああ、最近ずっとこうだよなあ……。それにしても、あいつ、今頃どこにいんのかな……」
 
 海刃はそう言って、遠くを見るような目をした。
 
「どこ行っちゃったんだろ……なんで行っちゃったのかな……」
 
 小雨がそうつぶやくと、
 
「大丈夫。きっとすぐ帰って来るよ」
 
 と、かずみが元気づけるように笑ってみせた。
 
 そう、彼らはある一人の少年の行方を追っていたのだ。
 今その少年に関して手元にある情報は、ほとんど無しに等しかった。
 ただ、最後にその少年を確認できた場所、それは里の外れにある海岸だった。
 わかることと言えば、たったそれくらいのことだった。


 
 そして、彼らが追う、その少年の名は——