よろづーこれは、かつて人々によって穢され、見捨てられた、もうひとつの世界のお話ー

「ところで、旅の方々のようですけど、この里に来る途中、紫檀色の長い襟巻をした奴らを見かけませんでした?」
 
「え! 紫檀色……? 赤紫のような色のことですか?」

 小雨が前のめりに聞き返す。 
 かずみと海刃も同時にその少女を見つめた。
 
「あ、えっと、そうです。あたしらはちょっとした事情があって、そいつら追って旅してるんだけど……。なんでもいいんで、なにかそいつらに関する事を知りませんか?」
 
「実はアタシたちも、その紫檀色の襟巻をした人たちを追ってて——」
 
 小雨が勢い勇んでそう言うのを遮るように、かずみが口を挟んだ。
 
「良かったら、詳しくその話、聞かせてくれないか?」
 
 すると少女はニヤッと笑った。
 
「あぁ、もちろん。あんたたちの話も聞かせてくれるなら……。あたしは来華(らいか)。あんたたちと同じ退治屋だよ。よろしくね」
 
「よろしく! 私はかずみだ」
 
 かずみも少し笑みをこぼして、自分の名を名乗った。
 小雨もおずおずと自己紹介をする。
 すると、今まで黙って来華のそばに立っていた、影利と呼ばれていた青年が初めて口を開いた。
 
「俺は影利だ」
 
 海刃が青年の前に立ってそれに応える。
 
「おれは海刃だ」
 
 こうして、三人と二人は出逢ったのだった……。