よろづーこれは、かつて人々によって穢され、見捨てられた、もうひとつの世界のお話ー

 オレたちはなんとか、とある里に辿り着き、そこの道場に併設されている寮に、保護してもらうことができた。

 しかし、オレは寮の生活に中々馴染めず、道場の厳しい稽古にもついていけなかった。
 
 厳しい稽古が嫌で、何度もこっそり抜け出そうとしては、連れ戻されて、その度に体罰を受けたり、食事を抜かれたりもした。
 そんなんだから、他の訓練生や寮生たちにもいじめられるようになった。
 
 兄ちゃんは、そんなオレを庇って、いじめや体罰を止めようとしてくれたり、自分の分の食事をオレに分け与えてくれたりもしていた。


 
「ねぇ、兄ちゃんのご飯が無くなっちゃうよ!」

 オレは兄ちゃんの食事の量と、分け与えてくれた自分の食事の量を比べて不満を爆発させた。

「お前はしっかり食べないと成長しないぞ。それに俺はあんまり腹が減ってないんだ」

「兄ちゃんだってまだ子供だろ? オレのことばっかじゃなくてちゃんと食べろよ。それに、オレのせいで兄ちゃんのご飯が減ってるのに……」

「いいから食べろ」

「…………」


 
 兄ちゃんはなんでもかんでも、オレのことばっかだった。

 オレはそれがいつも不満だった。
 オレのことを考えてくれるのは嬉しいけど、ちゃんと自分のことも考えてほしかった。

 

 兄ちゃんは十三になったとき、退治屋の仕事を始めた。
 退治屋の仕事は危険だけど、他の仕事と比べて収入が良い。
 
 でも兄ちゃんは、寮や道場に金を収めないといけないし、相変わらず出来損ないなオレに、こっそり食事を買い与えたりもして、その分の出費もかさむから、他の退治屋のように新しい武器を買う余裕もなく、刀一本でやるしかなかった。