よろづーこれは、かつて人々によって穢され、見捨てられた、もうひとつの世界のお話ー

 ——兄ちゃんは昔から、オレのことをとても大事にしてくれた。

 そしてオレも、両親が呆れるくらい兄ちゃんに甘えてた。
 オレは幼い頃とても弱虫で、村ではいつもいじめられていた。
 その度にオレは泣きながら、兄ちゃんの元へ逃げていた。


 
 その日もオレは村の同じくらいの歳の子たちに、見事に足を引っ掛けられ、派手にこけて泣きながら家へ帰った。
 
 家の庭に兄ちゃんがいるのを見つけると、オレはしゃくり上げながら、真っ直ぐ兄ちゃんの方へ歩いて行った。
 兄ちゃんはオレに気がつくと、呆れ顔で笑った。

「光我……また泣いてるのか? 今度はなにがあった?」

 オレはいつものように、兄ちゃんに正面からしがみついた。

「……うっ……にぃちゃん……」

 兄ちゃんは優しくオレの頭をくしゃっと撫でた。

「もう泣くな。男だろ?」

 オレはそれでも泣きやもうとはせず、相変わらず兄ちゃんにしがみついたままだった。
 本当はもう悲しくなんかなかったけど、兄ちゃんの優しさが嬉しくて、いつまでもそれに甘えていたかっただけなんだ。

 兄ちゃんもきっとそれに気づいていた。
 それでも、いつまでも優しくオレの頭を撫でてくれてた……。