よろづーこれは、かつて人々によって穢され、見捨てられた、もうひとつの世界のお話ー

 光我はガックリと膝をついた。

「なんで……なんでだよ……おめぇがオレを追いかけて来たら、オレがここにいる意味がねぇじゃねぇか……」

 光我は両手で頭を抱え込み、震えながらぶつぶつとなにやらつぶやいている。

「どういうことだ?」

 影利が刀を下ろし、眉を潜めた。

 そのとき、大きな岩に背をもたれて、傍観していた座朗が口を開いた。

「何故力を使わんのだ……。そのままのお前では、なにもできまい。自分の力を知れ。そのままのお前は、ただ無様で無力なだけだ……」

 光我は僅かにその言葉に反応を示す。
 すると、彼の周りを怪しげな風が、ヒュンヒュンと音を立てながら取り巻き始めたのだ。

 影利ははっとして一歩退いた。
 光我がゆらりと立ち上がって、顔を上げる。
 その顔は恐ろしい獣のような形相になっていた。
 目は鋭く、怪しげに赤くギラリと光る。
 光我はニィッと不気味に笑った。

「……オレは夜代に入ってすぐ、この鎌(・)鼬(・)の力を手に入れた……。だからコイツ(この鎖鎌)はオレにしか扱えねぇんだ!」

 そう言い終わると、光我は風をも切り裂くように勢いよく影利へと突っ込んでいった。

 座朗はそれを見て、フッと冷酷な笑みを浮かべる。

「……そうだ。それでいい……」