よろづーこれは、かつて人々によって穢され、見捨てられた、もうひとつの世界のお話ー

 光我は鎖鎌を振り回しながら、影利に向かっていった。

 ——ギィイィン!

 鋭い金属の擦れ合う音。
 影利は上手く、光我の二つの鎖鎌を刀で払い除ける。
 光我は素早く彼の刀から逃れ、後ろへ飛び退いた。
 そしてまた互いにぶつかり合う。
 
 お互い一歩も引かず、互角の戦いが続いた。

「くそ!」

 光我はなかなか攻撃が当らないことを歯がゆく感じ、悪態をついて、勢いよく鎌を影利に放った。
 しかしそれも簡単に払われ、距離を詰められた光我は、腹を強く拳で突かれた。

「っぐ!」

 呻き声を上げ、腹を押さえつつ影利から退く。

「お前、どうやってその武器を扱えるようになったんだ?」

 光我は息を切らしながら答える。

「どうだっていいだろ……」

「昔は、剣術もまともにできなかったのにな……」

 彼の言葉に光我はキッと顔を上げ、再び鎖鎌を振り回しながら向かっていく。

「いつまでも、兄貴面してんじゃねぇ!」

 影利は怯むことなくひらりと鎌を避け、彼の目の前で素早く刀を振った。

 その刃が僅かに光我の顔を掠め、彼の頬からじわりと血が流れ出た。
 影利が真っ直ぐと、光我に刀を突きつける。
 光我は目を見開いたまま固まっていた。

(なんで敵わねぇんだ……。やっぱり、このままのオレじゃダメなのか……?)

 影利は刀を突きつけたまま、悲しげに弟の名を呼んだ。

「光我……」

 二人が向き合って立っている姿は、悲しいほどよく似ていた。
 誰が見ても兄(・)弟(・)だとわかるほどに……。