よろづーこれは、かつて人々によって穢され、見捨てられた、もうひとつの世界のお話ー

 よろずと光我は、あれから長い道のりを歩いて、ちょうど夜助の伝言通り、二週間が過ぎた今日の正午近く、もうすぐ黒竜山のふもとへと到着しようしていた。

「アイツら、もう着いてんだろうな」

 光我は急ぐ様子もなく、歩きながらつぶやく。
 よろずはチラリと光我に視線を向けた。

「もうすぐ、おめぇともお別れだな」

 すると、光我はニヤッと笑ってよろずを見た。

「なんだぁ? 寂しいってか?」

「誰が寂しいかよ! でも、ただ、最初はおめぇみてぇな奴となんて、冗談じゃねぇと思ったけどよ……結構楽しかったぞ」

 よろずはつっけんどんにそう言うと、パッと光我から顔を背けた。

「っ……!」

 光我はこういうときになんと言うべきなのかわからず、顔を赤くして口をパクパクとさせている。
 そして、なんとかぎこちなく言葉を返した。

「オ、オレも案外楽しかったけどよ……お、おめぇ、んなこと言ってっと余計可(・)愛(・)い(・)ってバカにされんぞ? チビ!」

 よろずはぐるりと光我に顔を向けると、強烈な拳を一撃腹に食らわせた。

「ってめぇ、最後の最後までふざけたこと言いやがって!」

 光我も腹を押さえながら怒鳴る。

「いって! てめぇこそ相変わらず乱暴な奴だな!」

 こうして二人は、最後の最後まで喧嘩をしながら歩いていた。