よろづーこれは、かつて人々によって穢され、見捨てられた、もうひとつの世界のお話ー

「!」

 しかし、かずみは腰が抜けたのと恐怖とで、振り返ることもできず、その場から動けない。

「……かずみ? お前なにしてんだ?」

 その声は海刃だった。
 かずみは安心して、ボロボロと涙をこぼしながら振り返った。
 そんな彼女を見て海刃は驚き、そのそばに駆け寄ってしゃがみ込んだ。

「オイ! なにがあったんだ? 大丈夫か?」

 かずみは震えながらやっと口を開く。

「あっ、お、女の人がっ……」

 かずみはうまくしゃべれず、それだけ言うのが精一杯だった。
 そんな彼女の背を、海刃が優しくさする。

「そうか、とにかく落ち着け。もう大丈夫だから……」

 かずみはやっと、落ち着きを取り戻してきた。

「あ、ありがとな、海刃!」

 かずみは落ち着くと、なんだかとてつもなく恥ずかしくなり赤くなった。
 海刃は彼女を立ち上がらせながら、ニヤッと笑う。

「へへ、お前は昔から、幽霊とかのもののけの類は全然ダメだからな!」

 かずみはさらに赤くなる。

「う、うるさい! お前だってびびってただろ?」

 彼女はそう怒鳴ると、ふと眉を寄せた。

「……それにしても、さっきの女の人……なんで言わないでなんて……?」