よろづーこれは、かつて人々によって穢され、見捨てられた、もうひとつの世界のお話ー

 食べ終わると、みんなはそれぞれ部屋で少し休むことにした。

「嵐……やまないねぇ」

 小雨は窓の外を不安そうに眺めている。

「頼むから、明日にはおさまってほしいよね」

 来華も窓の外を祈るように見ている。
 と、不意にかずみが勢いよく立ち上がった。

「なっ、どうしたの?」

 小雨は驚いて彼女を見上げた。

「私、今日のこと話して、もう一度女将さんに聞いてくるよ」

 かずみはキッと表情を引き締めて、力強くそう言った。

「それならあたしも——」

 来華の言葉をかずみが遮る。

「いいや、人数多いと、女将さんも話し辛いと思うんだ。だから独りで行ってくるよ」

 かずみはそう言うと、さっさと部屋を出て行ってしまった。

「えっ、待っ、かずみ!」

 慌ててその後を追おうとした小雨を、来華は手を掴んで引き止めた。

「大丈夫だよ。かずみなら」