よろづーこれは、かつて人々によって穢され、見捨てられた、もうひとつの世界のお話ー

 次の日の朝、みんなは宿の女将に尋ねに行った。

「この宿ってなにかいるんですか? 本当のこと教えて下さい!」

 来華は朝食の支度で忙しそうな女将を問いただす。

「はぁ……? なにかあったんですか?」

 わざとらしく首を傾げる彼女に、小雨と海刃は昨晩のことを早口で説明した。

「……そうですか。でも私にはなんの心当たりもありませんねぇ……」

 女将はそれでも、なにか隠しているようだ。

「うそ、なにかあるでしょ?」

 来華が粘り強く尋ねると、女将はニヤリと笑ってこう言った。

「そんなことより、今日もここからは出られそうにありませんねぇ。この嵐では……。もう一晩お泊りになったらいいでしょう……。御代はお安くしときますから……」



 
「もう! ぜぇったいあの女将さん、なにか隠してるよ!」

 来華は座卓をしばきながら、悔しそうにしている。

「そうみたいだな……」

 影利もポツリとつぶやいて味噌汁をすすった。
 一方小雨はガクッと項垂れてぼやく。

「それにしても、もう一晩なんて気味が悪いよぉ……」

「くっそ! なんでこんなときに嵐がやまない?」

 海刃は恨めしそうに窓の外を睨みつけた。
 すると、かずみが魚を箸でつまんだまま、こう提案した。

「よし! じゃあ今日のうちに、あの霊の正体を突き止めてやらないか? どうせやることないんだし! あの女将さんをギャフンと言わせてやるんだ!」

 来華がニヤッと笑ってそれに乗る。
 
「面白そうじゃない?」

 他の三人もうなずく。

「絶対突き止めてやる!」

 海刃は特にやるき満々だ。