よろづーこれは、かつて人々によって穢され、見捨てられた、もうひとつの世界のお話ー

 海刃は震える指で掛軸を指差した。

「あ、あそこから女の泣き声がして、近寄ったら、か、掛軸から血が!」

 みんなは一斉にその掛軸を見つめる。

「? 別になにも変わりないぞ?」

 かずみが首を傾げる。

「で、でも、さっきは確かに!」

「……そうか。やはりこの宿にはなにかいるな……」

 影利はそうつぶやいて立ち上がった。

「なっ、お前らもなんかあったっていうのか?」

 海刃は膝をついたまま、みんなを見上げる。
 小雨は彼にもさっきあったことを話した。

「そんなことがあったのか! なんなんだよ、ここは?」

 海刃はそれを聞いて、さらに青ざめる。
 しかし、恐怖よりも眠気が勝ってきたかずみは、欠伸をしながら言った。

「なぁ、もう今日は休まないか?」

 来華もそれが移って欠伸をする。

「それもそうだね……。みんな余計疲れたでしょ?」

 

 こうして全員は、とりあえず今夜はもう眠ることにした。

 外では未だ、嵐が吹き荒れているようだった……。