よろづーこれは、かつて人々によって穢され、見捨てられた、もうひとつの世界のお話ー

 三人は少し里から外れた場所にある団子屋で、それぞれ一本だけ団子を頬張りながら一休みしていた。
 
「それにしても、背の高い男かぁ……」
 
 かずみは前から気になっていたことを口にした。
 
「誰だろ……?」
 
 小雨も首を傾げる。
 
「やっぱ、お前にも心当たりねぇか?」
 
 海刃も茶をすすりながらそう尋ねた。
 
「う、うん。全然わかんない……」
 
 小雨は視線を落とし、困ったように答えた。
 
「それに、赤紫の長い襟巻ってのも気にかかる……」

 かずみはそうつぶやくと一口茶をすすった。

「えっ? なんでそんなこと気に——」

 小雨の言葉はそこで違う声に掻き消された。
 
「大変だぁ! またアヤカシが出たぞぉ!」
 
 一人の男がものすごい勢いで走ってくる。
 すると遠くの方で悲鳴や、バキバキとなにかが破壊されるような音が、かすかに聞こえてきた。
 
「さっきの通りの方だ!」
 
 海刃は置いていた荷物を引っ掴むと、一目散に元来た道を引き返していった。
 かずみと小雨も大急ぎで後を追う。