ことばにおとをー君の死を、僕の最高傑作の燃料にー

※

何を言われたのか、すぐにわからなかった。
見たこともない、りんくんのまっすぐな目。
ううん、何度も見ていた。小学生の頃も、ここ数ヶ月も。

誰かを助けている時、いつもまっすぐで、でも柔らかい目をしていて、相手を見ていた。
いつもどこかで、何かを隠すように一線を引くのに、困っている人がいると助けずにはいられない。

そんな君に、私は惹かれたんだ。
君の瞳に映る世界を、一緒に見たくて。
そんな君が紡ぐ煌めいた言葉に、私は救われた。

突然のりんくんの告白。

さっき言ったじゃん。
覚悟が揺らぐって。
私は誰とも、近づきたくない。
大切な人が増えれば増えるほど、死ぬのが怖くなるから。
本当はりんくんとだって。そう、誰とも。
りんくんは、私の心をわかってくれないの?

そう、思ってたのに。思いたいのに。
死ぬということに、覚悟を決めたはずなのに。

どうして? 
ねえ、何で、こんなに嬉しく思ってしまうの?
安心してしまうの?
出なかった涙が、止まらないの?

りんくん、君は何で私の言葉を無視して、そんな言葉が言えるの?
何で、一緒にいてくれるの?

うん、そうだよ。本当は、怖いもん。
大丈夫。ううん、怖い。
大丈夫。一人で戦える。ううん、怖いよ。

誰か、助けて……。

無意識だった。
気づいたら私は、りんくんに、抱きついた。


※

結野さんは僕に抱きついた。

「一緒にいてくれるの? ほんどに?」

涙でしとどに濡れた彼女の頬が、僕の頬に当たる。

「うん。約束した。一緒にいたい。結野さん、話してくれて本当にありがとう。それで、僕の告白、受けてくれますか?」

僕の背中に添えられた彼女の腕に、力がこもる。

「うん、うん! こんな私でいいなら、おねがいじます」 

鮮やかな暮色が、空の果てで眠りにつこうとしている。

側の街灯に光が灯り、僕たちを照らした。