昼休みになるといつも教室を満たしていた和気あいあいとした空気がその日はなかった。皆が声をおとし、浅川さんのことを話していた。どうやら今朝方、浅川さんが水槽のコードに触れているのをみた生徒がいたらしく、それが決定的な証拠となったそうだった。
「前から気持ち悪かったもんねあの子。何考えてんのか分かんないし」
教室の後ろの方で柳井さんが周りにいる女子たちに向けてそう言っていた。普段は口数が少ない真面目そうな女子たちでさえも「前から変な子だと思ってた」、「友達にはなれないよね」と口々に溢し、正直私からしてみれば彼女たちの方が怖いと思ったし同時に気持ち悪くも思った。
まだ呼ばれただけで犯人かどうかも分からないのに、とふつふつと怒りがこみ上げてきた時、教室の扉がひらく音が鼓膜に触れた。全員の目が一斉に向けられる中、憔悴しきった表情で白石先生が入ってきた。先生! どうなってるんですか! 浅川さんがやったの? 皆が一斉に質問を向けると「皆落ち着いて。今は状況を整理している段階だから」と白石先生は両手を前に突き出し宥めようとしていた。
「とにかく一回席に座って貰える?」
まさに鶴の一声だった。机に腰掛けていた女子たちや教壇近くまで問いかけにいった男子たち、皆が自分の席へと向かった。白石先生は納得したようにちいさく頷き、ゆっくりと口をひらいた。
「とりあえず今の状況を伝えるわね。本当は事実確認もはっきりとしていない中で皆に伝えるのは得策ではないかもしれないし、もしかしたら私だって後で怒られるかもしれない。でも、皆には知る権利があると思ったから」
全員が白石先生の声に耳を傾け、教室のなかは静まり返っていた。
「結論から言うわね。浅川さんは、今回の一連の件全ての関与を否定してる」
だが、白石先生の放ったその言葉で一瞬にして静寂が破られた。嘘でしょそんなの。そりゃ否定するに決まってるじゃん。あちこちから飛び交う生徒たちの声を「静かに!」と白石先生が制した。
「勿論私たちだってそれは分かってる。でもね、本人がやってないと言うならそれを信じてあげる事も私たちの役目だと思うの。だって浅川さんは、皆のクラスメイトでしょ?」
白石先生の話に耳を傾けながら、私はあの水槽のなかで今朝死に絶えた魚たちのことを考えていた。
「前から気持ち悪かったもんねあの子。何考えてんのか分かんないし」
教室の後ろの方で柳井さんが周りにいる女子たちに向けてそう言っていた。普段は口数が少ない真面目そうな女子たちでさえも「前から変な子だと思ってた」、「友達にはなれないよね」と口々に溢し、正直私からしてみれば彼女たちの方が怖いと思ったし同時に気持ち悪くも思った。
まだ呼ばれただけで犯人かどうかも分からないのに、とふつふつと怒りがこみ上げてきた時、教室の扉がひらく音が鼓膜に触れた。全員の目が一斉に向けられる中、憔悴しきった表情で白石先生が入ってきた。先生! どうなってるんですか! 浅川さんがやったの? 皆が一斉に質問を向けると「皆落ち着いて。今は状況を整理している段階だから」と白石先生は両手を前に突き出し宥めようとしていた。
「とにかく一回席に座って貰える?」
まさに鶴の一声だった。机に腰掛けていた女子たちや教壇近くまで問いかけにいった男子たち、皆が自分の席へと向かった。白石先生は納得したようにちいさく頷き、ゆっくりと口をひらいた。
「とりあえず今の状況を伝えるわね。本当は事実確認もはっきりとしていない中で皆に伝えるのは得策ではないかもしれないし、もしかしたら私だって後で怒られるかもしれない。でも、皆には知る権利があると思ったから」
全員が白石先生の声に耳を傾け、教室のなかは静まり返っていた。
「結論から言うわね。浅川さんは、今回の一連の件全ての関与を否定してる」
だが、白石先生の放ったその言葉で一瞬にして静寂が破られた。嘘でしょそんなの。そりゃ否定するに決まってるじゃん。あちこちから飛び交う生徒たちの声を「静かに!」と白石先生が制した。
「勿論私たちだってそれは分かってる。でもね、本人がやってないと言うならそれを信じてあげる事も私たちの役目だと思うの。だって浅川さんは、皆のクラスメイトでしょ?」
白石先生の話に耳を傾けながら、私はあの水槽のなかで今朝死に絶えた魚たちのことを考えていた。
