透明に堕ちるわたしの輪郭

 お母さんが迎えに来てくれたのは、夕方の六時過ぎのことだった。家に入ってくるなりどうぞこちらへと二階へ通され、二人が話している間は私は一階のリビングで待つというのがルールだった。三十分程待っていると、お母さんが降りてきた。

「路花、またせたねえ。じゃあ帰ろうか」

 目尻をゆっくりと下げるお母さんの顔をみながら私は頷いた。里中先生は「次は来週の木曜日だね。待ってるよ」と家の外まで送ってくれた。車は来た道と同じ林道を真っすぐに進んでいく。夏で日が長くなったとはいえ、夕方の六時も回ると空が薄暗くなり始めている。昼間に取り残された青と直に訪れる夜を暗に教えてくれる橙が溶け合うようにして空を満たしている。けれど、林のなかにはすでに夜が充満し始めていた。木々や葉で覆い隠されたその先は、もう暗くてみえない。私はそれに目をやりながら、少しずつ遠のいてく意識をゆっくりと手放した。