駅の構内は外からみるよりもよっぽど綺麗だった。駅直結のスーパーがあれば、雑貨屋や花屋、コンビニもある。この辺に住んでいる人は便利だろうな、と券売機で切符を買おうとしていた時、私は一瞬最寄り駅へのボタンを押すことを躊躇った。歌が、聴こえたのだ。声に透明感がある、特に高音の伸びが綺麗な女性の歌だった。それも、これは有線や何かから流れている訳ではなく、明らかにこの近くで誰かが生で歌っている。私はとりけしのボタンを押し、引き寄せられるようにその源へと向かった。
色とりどりの花がガラス張りのドアの向こうにみえる花屋を抜け、駅と連結している通路を渡った先にはちいさな広場があった。大きく伸びた木が作り出した日陰になっているところで一人の女性がギターを抱きながら歌を歌っていた。黒髪の、やたらと色の白い、綺麗な女性だった。前髪は目の少しうえあたりで切り揃えられていて、女性の大きな目がより強調されている。けれどどこか幼さも残っていて、私と然程年が離れていないように感じた。周りには、私と同じように女性の歌声に惹かれたのか数人の人たちが聞き入っていた。歩き過ぎて足が痛かったのと私も女性の歌声を聴きたくて、その人たちのすぐ傍で腰を下ろすことにした。近くで聴くとより女性の歌声が美しいことが分かる。高音の伸びがとにかく綺麗だった。鼓膜に吸い付くように耳のなかに入ってきて、それがとにかく心地よかった。思わず、目を閉じる。耳を澄ませ女性の歌声に身も心も預ける。すると、何故か途端に味わったこともないような懐かしさがこみ上げてきて、目に水の膜が張ったのが分かった。歌っている曲のせいだろうか。理由は分からないが、とにかくこのままでは目の淵から溢れてしまうと瞼を開けた時、女性と目があった。一秒、二秒、三秒。いや、もっと長かったかもしれない。私と女性の瞳は磁力で引き寄せられているみたいにしばらく結びついていた。
色とりどりの花がガラス張りのドアの向こうにみえる花屋を抜け、駅と連結している通路を渡った先にはちいさな広場があった。大きく伸びた木が作り出した日陰になっているところで一人の女性がギターを抱きながら歌を歌っていた。黒髪の、やたらと色の白い、綺麗な女性だった。前髪は目の少しうえあたりで切り揃えられていて、女性の大きな目がより強調されている。けれどどこか幼さも残っていて、私と然程年が離れていないように感じた。周りには、私と同じように女性の歌声に惹かれたのか数人の人たちが聞き入っていた。歩き過ぎて足が痛かったのと私も女性の歌声を聴きたくて、その人たちのすぐ傍で腰を下ろすことにした。近くで聴くとより女性の歌声が美しいことが分かる。高音の伸びがとにかく綺麗だった。鼓膜に吸い付くように耳のなかに入ってきて、それがとにかく心地よかった。思わず、目を閉じる。耳を澄ませ女性の歌声に身も心も預ける。すると、何故か途端に味わったこともないような懐かしさがこみ上げてきて、目に水の膜が張ったのが分かった。歌っている曲のせいだろうか。理由は分からないが、とにかくこのままでは目の淵から溢れてしまうと瞼を開けた時、女性と目があった。一秒、二秒、三秒。いや、もっと長かったかもしれない。私と女性の瞳は磁力で引き寄せられているみたいにしばらく結びついていた。
