火曜日、水曜日と、授業の内容は全く頭に入ってこなかった。
ノートの余白にサッカーのフォーメーション図を描くフリをして、頭の中では『木曜日にあの人と鉢合わせないためのシミュレーション』を繰り返す。
いつも通りサッカー部のジャージを着て、汗と泥にまみれた俺の姿を見られたら、あの金曜日の『大学生の航平先輩』と言う魔法は一瞬で消えてしまう。
―――それなのに、俺のどこか身勝手な心は、別の期待に胸を踊らされていた。
バーで見せる、少しお酒が回って弱音を吐く、無防備で可愛らしい彼女も大好きだ。
だけど、俺が彼女に恋に落ちたきっかけは、他でもない――この学校のグラウンドから見上げた、あの凛とした『先生』としての姿だった。
生徒たちの前で真剣に、そして誰よりも美しく佇むあの姿を、また見ることができる。
正体がバレるかもしれないというスリルを上回るほどの純粋なときめきが、どうしても頭の片隅から消えてくれなかった。
そして、あっという間に木曜日の朝がやってきた。
遠征用のエナメルバッグを肩にかける。
これまでにも何度も行っているはずの隣町の高校なのに、あの金曜日の夜に彼女とバーで言葉を交わすようになってからは、この場所へ向かうのが狂おしいほど緊張する。
俺は恐怖と期待の入り混じった、いつもより何倍も重い足取りで、隣町の高校へと向かうバスに乗り込んだ。
ノートの余白にサッカーのフォーメーション図を描くフリをして、頭の中では『木曜日にあの人と鉢合わせないためのシミュレーション』を繰り返す。
いつも通りサッカー部のジャージを着て、汗と泥にまみれた俺の姿を見られたら、あの金曜日の『大学生の航平先輩』と言う魔法は一瞬で消えてしまう。
―――それなのに、俺のどこか身勝手な心は、別の期待に胸を踊らされていた。
バーで見せる、少しお酒が回って弱音を吐く、無防備で可愛らしい彼女も大好きだ。
だけど、俺が彼女に恋に落ちたきっかけは、他でもない――この学校のグラウンドから見上げた、あの凛とした『先生』としての姿だった。
生徒たちの前で真剣に、そして誰よりも美しく佇むあの姿を、また見ることができる。
正体がバレるかもしれないというスリルを上回るほどの純粋なときめきが、どうしても頭の片隅から消えてくれなかった。
そして、あっという間に木曜日の朝がやってきた。
遠征用のエナメルバッグを肩にかける。
これまでにも何度も行っているはずの隣町の高校なのに、あの金曜日の夜に彼女とバーで言葉を交わすようになってからは、この場所へ向かうのが狂おしいほど緊張する。
俺は恐怖と期待の入り混じった、いつもより何倍も重い足取りで、隣町の高校へと向かうバスに乗り込んだ。


