他愛のないバカ話をして、ポテトを奪い合って、夏海がパフェを美味しそうに頬張る姿を眺める。小学校の頃から何一つ変わらない、俺たちの、泥だらけで騒がしい「高校生の日常」が、そこには確かにあった。
***
季節はさらに進み、十一月の肌寒い土曜日。
小さな古着屋の軒先で、結衣さんが「これ、航平くんにすごい似合いそう」とすこし厚手のシックなウールコートをハンガーごと示してくれた。
「あ、これすごく格好良いですね。……でも、俺のところ、まだ冬服の期間に入ってないから、今買っても一ヶ月くらいはクローゼットで眠らせることになりそうです。あ、こっちのジャケットもいいかも。結衣さん、ちょっと合わせてみていいですか?」
俺はすぐに次のラックへと手を伸ばし、新しいアウターを体に当てて、鏡の前で一生懸命に背伸びをしていた。
その翌週の夜、ベッドの上でイヤホンを耳に押し当てて、いつものように深夜の通話をしていた時のことだった。
受話器の向こうから聞こえる結衣さんの優しい声に甘えるように、中間考査の勉強で頭がパンクしかけていた俺は、つい大きなため息と一緒に愚痴を漏らしてしまった。
「……あー、ダメだ。配られたプリント、全部ルーズリーフに糊で綺麗に貼って、明日の朝一番に提出しなきゃいけなくて。忘れたら居残りさせられるから、今必死にやってるんです」
『居残り……大変だね、航平くん』
「そうなんですよ、うちのところ、変なところで厳しくて本当にヘトヘトです。あ、そういえば結衣さん、次の土曜日なんですけど――」
俺は糊を握り直してプリントを貼り付けながら、次の週末の約束へと思いを馳せていた。
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季節はさらに進み、十一月の肌寒い土曜日。
小さな古着屋の軒先で、結衣さんが「これ、航平くんにすごい似合いそう」とすこし厚手のシックなウールコートをハンガーごと示してくれた。
「あ、これすごく格好良いですね。……でも、俺のところ、まだ冬服の期間に入ってないから、今買っても一ヶ月くらいはクローゼットで眠らせることになりそうです。あ、こっちのジャケットもいいかも。結衣さん、ちょっと合わせてみていいですか?」
俺はすぐに次のラックへと手を伸ばし、新しいアウターを体に当てて、鏡の前で一生懸命に背伸びをしていた。
その翌週の夜、ベッドの上でイヤホンを耳に押し当てて、いつものように深夜の通話をしていた時のことだった。
受話器の向こうから聞こえる結衣さんの優しい声に甘えるように、中間考査の勉強で頭がパンクしかけていた俺は、つい大きなため息と一緒に愚痴を漏らしてしまった。
「……あー、ダメだ。配られたプリント、全部ルーズリーフに糊で綺麗に貼って、明日の朝一番に提出しなきゃいけなくて。忘れたら居残りさせられるから、今必死にやってるんです」
『居残り……大変だね、航平くん』
「そうなんですよ、うちのところ、変なところで厳しくて本当にヘトヘトです。あ、そういえば結衣さん、次の土曜日なんですけど――」
俺は糊を握り直してプリントを貼り付けながら、次の週末の約束へと思いを馳せていた。


