同世代の楽しいサークルや大学には、きっと可愛い女の子がたくさんいるはずだ。それに、私は毎日学校の書類と授業に追われ、生徒たちの前で必死に『先生』を演じている、数歳も年上の社会人なのだから。
彼から見れば、私はただの『お酒の席で知り合った、少し年上の相談相手』に過ぎないのかもしれない。
そう想像するだけで、胸の奥がツンと痛んだ。
教師という立場にいながら、まだこれからの未来がある若い学生の男の子を、そんな目で見てしまうなんて、あってはならない。大人として、もっと冷静にならないといけないのに。
それなのに、目を閉じればあの心地のいい声が鮮やかに蘇ってしまう。
サークルで泥臭くゴールを狙う、と言った時の彼のまっすぐな目。
私の拙い仕事の愚痴を、いつも真剣に、まるで自分のことように受け止めてくれる優しさ。
そして、夕暮れ時のテラス席で、彼が言ってくれた客観的で飾らない言葉――
『そのサッカー部の人も、きっと純粋に、立花くんの絵の凄さに圧倒されて、思ったままを言っただけなんじゃないですかね』
その言葉が、私の心の一番柔らかい部分に、ストンと落ちてきたのだ。
『また……こうして、土曜日もお出かけして進路相談(仮)に乗ってくれる?』
帰り際、私がそう聞いた時、少し照れたように、でも本当に嬉しそうに「はい。喜んで」と微笑んだ彼の顔。
「……ダメ、ブレーキかけなきゃ」
私は小さくため息をつき、ポロシャツの襟元をぎゅっろ握りしめて、窓の外の青空を見上げた。
歳の差も、お互いの立場も、キャンパスにいるであろう同世代の女の子たちの存在も、分かっている。だからこそ、これ以上彼にのめり込むべきではないと、自分に強く言い聞かせたばかりだった。
しかし、私が必死に築いたその大人の防衛戦は、放課後の美術室であっけなく崩れ去ることになる。
「――ねぇ先生、のんびりしてると他の女の子に取られちゃいますよ?」
部活の片付けをしながら、あの女子部員たちがまたからかうように言った。
「大学のサッカー部なんて絶対可愛いマネージャーとかいるし、狙ってる子いっぱいいますって!先生、ちゃんとキープしとかなきゃダメです!」
「もう、そんなんじゃないって言ってるでしょ……」
苦笑い作って彼女たちを帰らせた後、誰もいなくなった美術室で、私はキャンパスの前に立ち尽くしていた。
彼から見れば、私はただの『お酒の席で知り合った、少し年上の相談相手』に過ぎないのかもしれない。
そう想像するだけで、胸の奥がツンと痛んだ。
教師という立場にいながら、まだこれからの未来がある若い学生の男の子を、そんな目で見てしまうなんて、あってはならない。大人として、もっと冷静にならないといけないのに。
それなのに、目を閉じればあの心地のいい声が鮮やかに蘇ってしまう。
サークルで泥臭くゴールを狙う、と言った時の彼のまっすぐな目。
私の拙い仕事の愚痴を、いつも真剣に、まるで自分のことように受け止めてくれる優しさ。
そして、夕暮れ時のテラス席で、彼が言ってくれた客観的で飾らない言葉――
『そのサッカー部の人も、きっと純粋に、立花くんの絵の凄さに圧倒されて、思ったままを言っただけなんじゃないですかね』
その言葉が、私の心の一番柔らかい部分に、ストンと落ちてきたのだ。
『また……こうして、土曜日もお出かけして進路相談(仮)に乗ってくれる?』
帰り際、私がそう聞いた時、少し照れたように、でも本当に嬉しそうに「はい。喜んで」と微笑んだ彼の顔。
「……ダメ、ブレーキかけなきゃ」
私は小さくため息をつき、ポロシャツの襟元をぎゅっろ握りしめて、窓の外の青空を見上げた。
歳の差も、お互いの立場も、キャンパスにいるであろう同世代の女の子たちの存在も、分かっている。だからこそ、これ以上彼にのめり込むべきではないと、自分に強く言い聞かせたばかりだった。
しかし、私が必死に築いたその大人の防衛戦は、放課後の美術室であっけなく崩れ去ることになる。
「――ねぇ先生、のんびりしてると他の女の子に取られちゃいますよ?」
部活の片付けをしながら、あの女子部員たちがまたからかうように言った。
「大学のサッカー部なんて絶対可愛いマネージャーとかいるし、狙ってる子いっぱいいますって!先生、ちゃんとキープしとかなきゃダメです!」
「もう、そんなんじゃないって言ってるでしょ……」
苦笑い作って彼女たちを帰らせた後、誰もいなくなった美術室で、私はキャンパスの前に立ち尽くしていた。


