「次はいつうちに来れるんだ? 母さんが、おまえに聞いておいてくれって」
昨日、家に帰って成績表を見せると、母は「佐倉くんのお陰ね。盛大にお祝いしなくちゃ」と言ってずいぶん張り切っていた。
「いまのところ予定ないから、オレはいつでも平気。塩屋は夜バイトの日もあるでしょ」
「そうだな。明日出勤のときにシフト確認したら連絡する」
「うん、よろしく」
うれしそうに笑って、佐倉が頷く。
先日は約束していたとおり、奮発してパンケーキを食べにいった。店に入るまでにかなり並んだが、甘いパンケーキとエッグベネディクトはどちらも絶品だった。
俺の家で試験勉強をして以来、週に一回はふたりで外食するようになった。佐倉を家に招けば素直に食べていくし、俺が佐倉の家に行くとき母に持たされた総菜を渡せばよろこんで受け取ってくれる。
佐倉のお菓子作りも続いていた。毎日食べていると、佐倉がどんどん腕を上げているのがわかる。いま食べているフィナンシェも絶品だ。店を開けるレベルだと思う。
「今日はバイトない日でしょ。どこ行く?」
「昨日、気になる店を見つけたんだ」
SNSのおすすめで流れてきたのは、先週オープンした洋菓子店だった。電車の定期内にある駅から徒歩で行ける距離にある。
ブックマークしていた投稿を見せると、佐倉が隣から覗き込んできた。互いの肩がぴったりくっついて、佐倉の手が反対側の肩に触れてくる。
「へー、美味しそう」
「焼き菓子とジェラートのテイクアウトがメインだけど、イートインでパフェも食えるんだ」
「せっかくならパフェ食べたいけど、結構高いんじゃない?」
パフェやジェラートにはかわいらしい犬の焼き菓子が載っていて、ずいぶんと見た目が凝っている。写真映えするので、女性に人気が出そうだ。
「いまオープン記念で割引中なんだ。パフェのイートインが混んでるときはジェラートのテイクアウトにすればいいんじゃないか」
「うん、そうしよ。どっちも美味しそうだもんね」
放課後、その店に行くと、オープンしたばかりとあって店は混雑していたが、イートインで美味いパフェを食べることができた。パフェに載っていたクッキーも美味かったので、プレーンとチョコの二種を買って帰り、佐倉とシェアした。
俺は記録としてスイーツの写真を撮っているだけだが、佐倉は最近SNSをはじめた。スイーツ巡りで食べたスイーツや、自分で作ったスイーツの写真を載せている。
俺とは違って、佐倉は写真やコメントもセンスがあるので、着実にフォロワーを増やしているようだ。そして、俺も更新を楽しみにしているフォロワーのひとりだったりする。
その日の夜、更新通知が届いて見てみると、佐倉が手作りフィナンシェの写真を上げていた。「先にわかってたら面白くないでしょ」と言って、手作りのお菓子に関しては、必ず俺に渡したあとで写真を上げるようにしているらしい。
「あれ? 今日のパフェの写真は上げないんだな」
見逃していたのかと思い、前の投稿を遡ってみたが見当たらなかった。
「こないだのパンケーキの写真もないな」
自分の作ったお菓子の写真は毎日欠かさず載せているのに、スイーツ巡りの写真が一切載っていない。しかも、ここ最近だけ。
「単に、あとで載せる予定なのかもしれないな」
べつの日に上げるためにとっておいてあるとか、写真が気に入らなかったとか、理由はいくらでもある。
そう思って深く考えず、佐倉にわざわざ尋ねもしなかった。
昨日、家に帰って成績表を見せると、母は「佐倉くんのお陰ね。盛大にお祝いしなくちゃ」と言ってずいぶん張り切っていた。
「いまのところ予定ないから、オレはいつでも平気。塩屋は夜バイトの日もあるでしょ」
「そうだな。明日出勤のときにシフト確認したら連絡する」
「うん、よろしく」
うれしそうに笑って、佐倉が頷く。
先日は約束していたとおり、奮発してパンケーキを食べにいった。店に入るまでにかなり並んだが、甘いパンケーキとエッグベネディクトはどちらも絶品だった。
俺の家で試験勉強をして以来、週に一回はふたりで外食するようになった。佐倉を家に招けば素直に食べていくし、俺が佐倉の家に行くとき母に持たされた総菜を渡せばよろこんで受け取ってくれる。
佐倉のお菓子作りも続いていた。毎日食べていると、佐倉がどんどん腕を上げているのがわかる。いま食べているフィナンシェも絶品だ。店を開けるレベルだと思う。
「今日はバイトない日でしょ。どこ行く?」
「昨日、気になる店を見つけたんだ」
SNSのおすすめで流れてきたのは、先週オープンした洋菓子店だった。電車の定期内にある駅から徒歩で行ける距離にある。
ブックマークしていた投稿を見せると、佐倉が隣から覗き込んできた。互いの肩がぴったりくっついて、佐倉の手が反対側の肩に触れてくる。
「へー、美味しそう」
「焼き菓子とジェラートのテイクアウトがメインだけど、イートインでパフェも食えるんだ」
「せっかくならパフェ食べたいけど、結構高いんじゃない?」
パフェやジェラートにはかわいらしい犬の焼き菓子が載っていて、ずいぶんと見た目が凝っている。写真映えするので、女性に人気が出そうだ。
「いまオープン記念で割引中なんだ。パフェのイートインが混んでるときはジェラートのテイクアウトにすればいいんじゃないか」
「うん、そうしよ。どっちも美味しそうだもんね」
放課後、その店に行くと、オープンしたばかりとあって店は混雑していたが、イートインで美味いパフェを食べることができた。パフェに載っていたクッキーも美味かったので、プレーンとチョコの二種を買って帰り、佐倉とシェアした。
俺は記録としてスイーツの写真を撮っているだけだが、佐倉は最近SNSをはじめた。スイーツ巡りで食べたスイーツや、自分で作ったスイーツの写真を載せている。
俺とは違って、佐倉は写真やコメントもセンスがあるので、着実にフォロワーを増やしているようだ。そして、俺も更新を楽しみにしているフォロワーのひとりだったりする。
その日の夜、更新通知が届いて見てみると、佐倉が手作りフィナンシェの写真を上げていた。「先にわかってたら面白くないでしょ」と言って、手作りのお菓子に関しては、必ず俺に渡したあとで写真を上げるようにしているらしい。
「あれ? 今日のパフェの写真は上げないんだな」
見逃していたのかと思い、前の投稿を遡ってみたが見当たらなかった。
「こないだのパンケーキの写真もないな」
自分の作ったお菓子の写真は毎日欠かさず載せているのに、スイーツ巡りの写真が一切載っていない。しかも、ここ最近だけ。
「単に、あとで載せる予定なのかもしれないな」
べつの日に上げるためにとっておいてあるとか、写真が気に入らなかったとか、理由はいくらでもある。
そう思って深く考えず、佐倉にわざわざ尋ねもしなかった。
