ーー……アレは、確か1年前のこと……。
〜〜〜 〜〜〜 〜〜〜 〜〜〜
『ーー湖伊、俺は、オマエのことが好きだーー』
緑川 透風は、僕こと青海 湖伊に、そう告げた。
真っ赤なエビに真っ赤なマグロに真っ赤なイクラに真っ赤なカニが丼に夕日の様にキレイに並べられた海鮮丼の向こう側で真っ赤な顔をして透風は僕に、そう言ったんだ。
透風の真っ赤な顔が、海鮮丼みたいで、夏の夕日に照らされて、とてもキレイだったのを憶えている。
湘南の潮風が相模湾に浮かぶ小さな島を、、、
ーー……吹き渡っていた。
『ーありがとう。僕も透風のこと好きだよー』
僕は満面の笑顔で透風に、そう応えたんだ。
だって透風は僕の大切な親友だから。
他意は無く……そう応えたんだ。
透風は一瞬だけ驚いた表情をして軈て少し寂しそうな切なげな表情をして『そうか』と微笑って小さく呟いた。
ーー……それが、1年前のこと……。
ーー……夏の果ての杪夏のことだった。
〜〜〜 〜〜〜 〜〜〜 〜〜〜
「ねぇ、透風、今年の旅行愛好会の夏休み旅行はさぁ、湘南に海鮮丼食べに行こ♡」僕は大学の先輩達が卒業してから透風と僕の二人きりの旅行愛好会となった。旅サークル(今は透風と僕の二人きりの旅行愛好会)のこの夏の夏休み旅行の行先をサークル棟の一室のサークル室で親友であり唯一のサークル部員である緑川 透風に提案する。
透風は一瞬、凄く驚いた表情をして長い睫毛をパチパチと瞬いてから「…海鮮丼…」と小さく呟いた。
「ダメ?去年の夏に透風と食べた想い出の海鮮丼❣❣美味しかったからさぁ♡ほら湘南の相模湾が一望できるオーシャンビューテラスのあのオシャレな老舗のお食事処❣❣ねぇ♡もっかい行こうよぉ♡海鮮丼食べたぃよぉ❣❣」
あまり乗り気でない様子の透風に、もう一回行こうと態と甘えて誘う透風は僕の甘え攻撃と押しに弱いのだ。
すると透風は少し困った様な表情をしてサークル室の折りたたみ式の長机の上に置かれた旅行雑誌(国内旅)の頁をペラペラと捲って真剣な眼差しでとある頁の見開きを僕に見せてポツリと言う。
「…海鮮丼なら北海道とかどうだ?特集されてるし…」
強面で寡黙だから真剣な顔をすると怖がられる透風だけど僕は知ってるんだ。透風が凄く優しんだってこと。
……だから。あの時『そうか』って、切なさそうに微笑ったんだよね。透風の決死の愛の告白をLOVEではなくてLIKEだと思って、あんな『ーありがとう。僕も透風のこと好きだよー』なんて軽々しく。透風の決死の思いを知らず知らずに傷つけた。そんなニブチン(死語)な僕との友情を今の関係をLIKEを崩さない様に、優しい透風は、自分のLOVEより僕とのLIKEを選んでくれたんだよね。
その思いに最近になって、やっとこさニブチン(死語)な僕は気がついて、今すんごく後悔してるんだよ……。
この1年くらいずっと、ずっとさ、僕は、あの時の透風の寂しそうに切なさそうに微笑った表情が気掛かりで、ずっと、ずっと、透風のことを考えて、ずっと、ずっと、透風のことを見てたんだ……。
そしたらどれだけ透風が、僕のことを思ってくれているのかが、端々から、すっごく伝わってきて、僕との今の関係を友情を壊さない様に、あの時のことを、無かったことにしようとしてるのも、あの告白のことを必死に忘れようとしてることも、……全部、全部、思い知ったんだよ。
今だって、こうやって、あの時の〜想い出の海鮮丼〜を、避けようとしている。全部、全部、全部、全部、僕の為だよね。全部、全部、全部、全部、僕のせいだよね。
だから、だから、今度は、僕が、透風に、僕の思いを、告げたいって思うんだ。やっとこさ気づいたこの気持ち。
だから、だからね「ダメ!あの時の、あの場所の、あの想い出の海鮮丼でなきゃ、ダメなんだよ!」無かった事になんてさせない無かった事になんてしたくないんだよ。
透風が見せてきた北海道の海鮮丼特集の頁の見開きを、旅行雑誌(国内旅)をバンッ!と透風の絆創膏だらけの指先ごと閉じて僕は強く言う。
「アダッ!」っと、思い切り旅行雑誌(国内旅)に指先を挟まれた透風が小さな悲鳴をあげていたが、お構いなしさ!因みに料理好きの透風は良く包丁で指先を切るので指先が何時も絆創膏だらけなのさ!
「ねっ!透風♡お願い♡二人で〜想い出の海鮮丼を食べに行こう〜!!」思い切り語尾に→♡マークを付けちゃったりなんかしちゃったりして、僕はとびきりの甘え上手上目遣いアザとスマイルで透風に迫ってお強請りして言う。僕の甘え上手上目遣いアザとスマイル攻撃に透風は、メチャクチャに弱いのだ。
〜〜ダラダラと額から汗を流して困ったように強面な眉間に皺を寄せる透風は、何だかへチャムくれた柴犬みたいで可愛かったりする。もう一押しとばかりに僕は、透風の旅行雑誌(国内旅)に挟まれたままの絆創膏だらけの指先を旅行雑誌(国内旅)ごと両手で握り締め「お願い♡キュルン꒰ঌ(⸝⸝o̴̶̷᷄ ̫ o̴̶̷̥᷅⸝⸝)໒꒱」と目を無駄に潤ませて詰め寄る。
「……ック、〜〜わかった……」透風は何かしらのダメージ(たぶん指先)を喰らって強面を赤面させながら軈て折れて僕の意見を通してくれました。
「やったぁ❣❣ありがと♡透風〜〜♡」
僕は旅行雑誌(国内旅)に絆創膏だらけの指先を挟んだままの透風を旅行雑誌(国内旅)ごと抱き締めて喜びました♡
こうして緑川 透風と青海 湖伊の二人きりの旅行愛好会〜想い出の海鮮丼を食べに行こう〜(今年の夏休みの旅)が決まったのでした。
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そして緑川 透風と青海 湖伊の二人きりの旅行愛好会〜想い出の海鮮丼を食べに行こう〜(今年の夏休みの旅)当日の朝!!
透風の愛車のタンデムバイクの音がして、僕は二階の自分の部屋の窓を開ける。透風は、バイク乗りなのだ。
漆黒の車体にライムグリーンのラインが疾走るタンデムバイクに跨った透風が僕に向かって片手を振る。僕も透風に向かって二階の自分の部屋の窓から「今、行く!!」と手を振ってコンパクトなバックパックを持って透風の元へと急ぎ家を出た。
「ぉはょ〜~、透風&ニンジャグリーン♪♪」
透風とニンジャグリーン(透風の愛車のこと僕が命名しました☆)に朝の挨拶をすれば透風が「はょ」と短く返してから「その戦隊モノみたいな呼び方やめろよな」と僕に小さく文句を言ってくる。
「え?なんで?ニンジャグリーン可愛いぢゃん♪♪ちゃんと車種名も掠ってるし☆」
僕が言い返せば透風は「コイツには、ちゃんと俺が付けた名前があるんだよ」とボソボソと呟く。
「あ〜、あの新幹線みたいな名前なんだっけ?」僕が聞き返すと「ハヤブサ」と透風が、すかさず答える。
「ねぇ、透風、ニンジャグリーンはバイクだょ!?」
「知らねーのか?湖伊、ハヤブサは鳥だ!」
得意気に笑って言う透風に僕も笑って応えた。
「ふふっ♫そっか、ハヤブサは鳥なのか!!」
透風は寡黙だけどバイクに乗っているときは、何時もより砕けて話してくれる。きっとこっちが素の透風なのかな?って思うんだ何時もは僕に気を遣って話してる気がする。特にあの日からは何処となく僕と距離を取っているような気がするんだ。だから素の透風と話せるのが嬉しかったりする。
「湖伊、はよ、来い、荷物入れて乗りな」
透風にそう言われて僕はニンジャグリーン(透風の愛車のこと僕が命名しました☆)のリアボックスに家から持ってきたコンパクトなバックパックを入れると「ホレ、湖伊専用!イチゴヘルメット被りな!」と透風が何ともラブリーで真っ赤なイチゴ柄のヘルメットを僕に投げて寄越す。因みに透風は美味しそうなスイカ柄の透風専用!スイカヘルメットを被っている。
僕は透風から寄越された湖伊専用!イチゴヘルメット!を被って透風の後ろのタンデムシートに跨ってニンジャグリーン(透風の愛車のこと僕が命名しました☆)に乗り透風に言う。
「このまま何かしら充電しながら旅でもしちゃう!?」
「電動バイクじゃねぇーけどな?何を充電する旅?」
透風に聞かれて僕は暫し考えて答える。
「ん〜?心とか?ホラ!旅は心の充電って言うし!」
「……心を洗う風とかじゃなくてか?」
「そ〜とも言う?かも?」
「ハハッ!湖伊ってホントにテキトーだよな!」
可笑しそうに笑ってから透風は、言う。
「湖伊しっかりつかまってな!」
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家から湘南の相模湾に浮かぶ小さな島までバイクで約2時間程のタンデムツーリング(一泊二日)の小旅行だ。
バイクの風切り音と共に透風とお揃いで色違いのメッシュレザージャケット越しに風の躍動を感じる。
透風のメッシュレザージャケット(ブラック)に包まれた腰に確りとメッシュレザージャケット(アイボリー)に包まれた両腕を回してギュッとつかまる。こうしていると何だか透風と一つになった様な気がする。自然と呼吸が合ってゆく様な不思議な感覚。元々、一つだった魂が、バラバラになって、また一つになるような。もとに戻るような。
嬉しいような。暖かいような。
ただいまって、言いたくなるようなそんな……一体感。なぜだか凄く懐かしくなって、……涙が出そうになるほどに魂が奮える。そんな風に感じているのは、僕だけだろうか?コツンとイチゴのヘルメットを少し背の高い透風の肩に軽くぶつけて、僕は思っている。
やっと気付いた自分の気持ち、
ーー此れは恋かと、そう思う。
……此れが恋かと、そう思い知っている。
……僕は、ーー青海 湖伊ーーは、、、
……君に、ーー緑川 透風ーーに、、、
……ーー恋をしている……。
だから伝えるよ。1年前に君が僕に伝えてくれた様に、
あの時の、あの場所で、想い出の海鮮丼を食べながら。
『ーー透風、僕は君のことが好きだよーー』
この気持ちはLIKEではなくて、LOVEなんだよって、やっと気付いたんだよって、そう告げるんだ。
あの日と良く似た湘南の潮風が、透風と僕を透き通ってゆくーーーー。
♡二人の旅路は、まだ始まったばかりだ♡
♡此れは恋かと♡緑川 透風と青海 湖伊の二人きりの旅行愛好会〜想い出の海鮮丼を食べに行こう〜
♡良い恋路でありますように♡



