花咲く君は、いつか透明なハナになる

 その少女は、いつもひとりぼっちでした。
 誰からも認識されなくて、話すことも出来ない。
 だけど、にこにこ笑っている不思議な子。


 透明になってしまった代わりに、少女は恋を知ったのです。


 ある日、心に花が咲きました。
 白くて美しい花は、歩く人々を魅了します。
 見えていなくても可憐な香りが漂って、みんなを幸せな気持ちにしてくれるから。

 何日か経って、少女の前で少年が立ち止まりました。
 そっと手を伸ばし、見えるはずのない花に触れたのです。

 とたんに、少女は光を放ちながら姿を表しました。


「やっと見つけた」

 少年が手を取ると、白い花を宿した少女は微笑みながら消えて行きます。

 残された花が、少年の心とひとつになって、それはまた美しく青い花が生まれました。



 どこにいても心は誰かと繋がっていて、誰もが特別な存在になれる力を秘めているのです。




                      fin.